執筆者について
 並木有里
 TEA for Life
  1.台湾で高山烏…
  
TEA for Life
−日常をキーワード 「お茶」で検索してみました。―

@ 台湾で高山烏龍茶を飲む。 30/Oct/2000
並木有里

 2000年、今年3本目のOversea Moveは台北だった。故宮博物院で季節のいい10月11月のみ公開されるという書の名品を見てみようと思いました、、、というのが表向きの理由。実は、夏にタイに連れていったナイスガイが、思いがけずチケット代を返還してきたので、そいつもさっさと移動に使ってしまいたかったのだ。台北なら羽田からフライト3時間、朝に家を出れば、昼には汁だくの小龍包が食えるというわけだから悪くない。

 「あー よく来ましたーよく来ましたー」初上陸ということで、念の為に頼んでおいた迎えは、七色のレインボー傘を持った気のいいおじいさんだった。台北は生憎の雨。空港から市内までの道々、彼は温かい日本語で台湾の歴史やら名所やらを話してくれた。「ここは、どこのマチか分かりますかー」「 あ〜信号マチです!はははー」なんつって彼なりのサービス精神は、うれしいものだった。

  「はい、疲れたからお茶のみましょう」といって唐突に連れていかれたのは、いわゆる「茶行」とよばれる茶葉問屋。「おーい、客連れて来たぞー(推定・台湾語)」と爺さんが声をかけると、店の奥から店員だか、住人だか、家族だか分からない人々がゾロゾロと出てきた。最後に、女主人が出て来て七輪の上にヤカンをのせると、流暢な日本語で「 ハイ、これから中国お茶の飲み方を説明します!」と宣言したのだった。盆の上に急須と、おちょこより一回り大きい程度の茶碗が7つ置いてあった。「ハイ、これから飲むのは、台湾の高山烏龍茶、最高級!」と断言して、茶葉を入れお湯を注ぐ。と、一煎めは、そのままジャーっと茶器の上にかけてしまった。盆全体から立ち上る湯気が、お茶の香りを部屋中に広げる。一煎めは、茶器を温めるのに使い、葉が開いた二煎めから飲むのが美味いのだそうだ。注がれた烏龍茶の色は、茶色ではなく薄い緑色のように見えた。飲むと、まったく渋味も苦さもない。むしろ緑茶に近い味がした。「烏龍茶」と聞くと、缶かペットボトルか入っている褐色の液体を想像してしまうだけに、この甘く上品な味にはヤラレタね。これが本物だったのか。。。「ハイ、茶碗のにおいを嗅いでください!」って何の事だか分からなかったが、飲んだ後の空の茶碗を鼻に近づけると、お茶が入っていた時よりもずっと強くいい香りがした。なるほどねー、これを楽しめということか。。。三煎め、四煎め、と次々に注がれる。そのたびごとに微妙に、香りと味が変化する。客は私一人なのだけれど、毎回7つの茶碗にさーっと手が伸びて、なんだかみんなでお茶を飲む。確かにな、一人でお茶って話しもないから、さっきのゾロゾロな人々は、お茶要員だったわけか。高級な茶葉ほど、何回も飲めるのだそうだ。広がった茶葉は、一枚一枚が大きく、完全に葉っぱの形を残していて、まったく裁断された後がない。茶殻は、炒め物にして食べることもできるし、乾かして枕の中身にすることもできるそうだ。

  これは帰国後に分かったことだが、確かに土産物店のお茶よりも、問屋の方が茶葉の質がいい。今回の最高級高山烏龍茶は、一斤(600g)4000元=14000円とお高いのだけれど、もっと手ごろな値段の茶葉を100g単位で袋詰めしてくれるので、台湾土産にはこっちをお薦めしたい。

  おちょこのような小さな茶器で飲む以外にも、蓋付きの茶碗に直接お茶の葉を入れて湯を注ぎ、蓋を少しずらして、その隙間から飲む方法も見せてくれた。指で蓋を押さえ片手で器用に飲む様は、杜甫か李白かというくらい風流だ。私も挑戦したが、どうも上手くない。こいつが片手で、すーっと飲めれば、中国語も話せるような気がした。

  面白かったのは、忙しい現代人用に、中に陶器の茶漉しが仕組まれているマグカップのような茶器。いちいち急須を使わなくても、内蔵の茶漉しに葉を入れジャージャーお湯を注ぐだけでOK。飲む時は、茶漉しを取り出して蓋の上に置く。飲んだらまた、葉の入った茶漉しを中にしまって蓋をする。飲みたくなったらジャージャーする。こうして、台湾のオフィスでは皆がこれを持っていて各自お茶するので、「お茶汲みの女の子、必要ない」というのが女主人の説明だった。このジャージャーシステムはおおいに私を感心させ、速攻で採用となり、「一日中飲める最高級茶葉」と共にマグカップも買って来た。深夜のPC作業のお供には最適だ。今も、ジャージャーしながら、この原稿を書いている。マグは台湾で300元、日本でも横浜中華街で1000円で売っている。

おちゃりんくTOP

おちゃりんくTOP