執筆者について
 sweetsやわらさん

レシピ1
  《桜味噌の浮島》



レシピ2
  《栗蒸し羊羹》



レシピ3
  《スィートポテトしぐれ》


お茶あるところにお茶菓子あり


レシピ4《青葉もみじ》

   春風が吹き去り、青葉の香りを漂わす新緑の風が、季節の移り変わりを知らし始める。空は晴天。五月晴れという言葉がぴったりの日である。 太陽の少しだけ意地悪な日差しを遮るかのように、脈々と葉脈を浮き出した新緑が私の行く手を導く。

  今日は、私の家族にとって特別な日である。上の姉が、めでたい挨拶を義兄になるであろう人と一緒に、我が家にやってくる日なのである。 心持ち緊張気味の我が家では、朝から部屋の掃除、身だしなみなどと言った必要以上のことをやるのに忙しい。

  そんな中、買い物へ行かされた私は、今日の特別な日を何のお茶で、どのような茶菓子を出そうか考えていた。祝いのお茶と茶菓子で姉達を祝福したいと。

  ふと空を見上げると太陽の光を遮る青く透けたもみじの葉を見つけた。

  なんと生き生きと空に向かって育っているのだろう。これからの暑い夏を目前に、その暑さに立ち向かっていく覚悟ができているかのように。 姉達の祝福のお茶に、めでたい桜茶を、お茶菓子として上生菓子の練りきりを贈ろう。これからの長い人生の幾たびにも重なる困難も二人で仲良く立ち向かって幸せをつかんでもらえるよう、この青葉もみじのように精一杯生き生きと・・・ 桜の塩漬けと、練りきりの材料を買い揃え家への帰途へと辿る。

  一片の桜が真っ白な湯のみ茶碗に浮かぶ。ほのかな桜の香りが、ついこの間まで花見で楽しませてくれた思い出を蘇らせる。

  − 練りきり −

  まず牛皮を作る。白玉粉に水を加え、蒸気の上がるセイロに蒸すこと15分。蒸しあがったら片手鍋に移し砂糖を2,3回に分けて加え木杓子でこねる。最後に水飴を加えもう一こね、打ち粉として片栗粉をまぶしたまな板の上にできあがった生地をのせ、さらに片栗粉を皮ばらないように振り掛ける。これで牛皮の出来上がり。

  あとは、片手鍋に白あんと牛皮を木杓子でこね粘りが出てくるまで、ひたすら練り上げる。手で触って生地がついてこない硬さまで練り上げたら、練りきりの出来上がり。

  今回は手間のかからない、失敗の少ない牛皮つなぎの練りきりを。

  美しい真っ白な練りきりは、桜茶の純粋な塩味を引き立てる。ここからが腕の見せ所・・・買い物の行き道に出会った青葉もみじを回想しイメージを考える。挽き茶で染めた練りきりと、透けた感じを純白の練りきりでぼかし、こしあんを包む。もみじをかたどったくびれを4箇所、最後に派脈をつける。 あの時見たもみじの活力が、茶菓子として再現できたであろうか?そこは、心がこもっていればいい。 木の葉の菓子皿にのせられた練りきりは今、"青葉もみじ"の菓銘で桜茶にふさわしい門出の茶菓子になった。

  チャイムが鳴る。
  玄関に行きドアを開けるとそこには、幸せそうな2人が恥ずかしそうに立っていた。たくさんの太陽の日差しを浴び、精一杯の希望を2人であふれないように支えあって、眩しいくらいだった。

  奥へ通すと、父と母が待っていた。2人を座らせ、お茶の準備をする母、だまって2人を見据える父。そこへ、お茶菓子を持っていきしんみりとした空気が一瞬でお茶の香りに包まれる。本題に入る前に私は身をひく。和やかな雰囲気が広がった。

  母が私を呼ぶと、姉が私に目で合図した。 「このお菓子、とってもおいしかったよ。お母さんから菓銘と由来を聞いてとても嬉しかった。」姉の目から涙が落ちた。 お茶とお茶菓子が姉にとって、記念の日の思い出となってくれた事に私まで幸せを感じた。 特別な日に特別なお茶時間を共有する事で 私達は思い出と、祝福を感じる。そんな素晴らしいひと時を実感できたお茶時間であった。 最後に、この二人に心から幸せを捧げたいと思う。

  「おめでとう!」

 
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sweetsやわらさん作
「青葉もみじ」
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